「2026年に介護の給料は上がるの?」「いつから反映?」「介護職員だけ?ケアマネや事務も?」――こうした疑問が一気に増えています。背景には、政府が総合経済対策の中で“医療・介護等支援パッケージ”を打ち出し、2025年度補正の賃上げ支援(6か月)と、2026年度の臨時(期中)介護報酬改定がセットで語られ始めたことがあります。
ただし、現時点で「確定に近い情報」と「分科会で議論中の情報」が混在しており、SNSやまとめ記事だけを追うと誤解しやすいのが正直なところです。この記事は、厚生労働省の社会保障審議会(介護給付費分科会)資料など一次資料を軸に、“いつから・誰が・どれくらい・何が条件”を、できるだけやさしい言葉で整理します。
この記事でわかること

給料(賃上げ)が“いつから”反映される見通しか
賃上げの「反映タイミング」は (A)補正予算による“前倒し支援(半年分)” と (B)2026年度の“臨時の介護報酬改定” の2つを分けて見るのが一番わかりやすいです。
なぜなら、補正予算の支援は「報酬改定の時期を待たずに」実施する設計で、まず先に現場へ届かせる狙いが明記されている一方、臨時改定は制度(介護報酬・加算)の仕組みそのものを変えて“継続的な賃上げ”につなげる議論だからです。
実際、厚労省資料では「報酬改定の時期を待たず…賃上げ・職場環境改善の支援を行う」「いずれも半年分」と整理されており、次の定期改定(令和9年度)を待たず臨時改定が必要という問題意識も示されています。
つまり、短期は“補正で前倒し”、中期は“臨時改定で持続化”という見通しで捉えると、ニュースに振り回されずに判断できます。
対象は介護職員だけ?ケアマネ・訪問看護・事務職も?
今回の流れは「介護職員だけ」ではなく、ケアマネ・訪問看護・訪問リハなども含む“幅広い介護従事者” を意識して設計されています。
理由は、分科会資料でも「人材不足は介護職員のみならず、事務職員も含めた介護分野に係る全ての従事者で同様」という認識が示されており、現場を支える職種全体で人材が足りていないからです。
具体的には、厚労省の補正施策の説明で、処遇改善加算の対象外になりやすい「訪問看護、訪問リハ、ケアマネ等」についても“加算に準ずる要件”を満たす(または見込み)事業者を対象にする考え方が明記されています。
なので、「自分の職種は対象外だろう」と早合点せず、勤務先のサービス種別と要件(加算取得状況など)で確認するのが正確です。
2025補正の賃上げ補助金(半年)と、2026臨時改定の違い
結論として、補正の賃上げ支援は“短期の応急処置”、臨時改定は“仕組みを変えて継続させる本丸”という位置づけです。
補正は予算(補助金)なので、対象期間が「半年分」と明記されている一方、臨時改定は介護報酬(公定価格)や加算要件の見直しで、賃上げ原資を“毎月回る形”に近づけやすいからです。
例として、分科会資料には「対象期間が6か月…一時金で終わらせることなく、介護報酬改定の実施などにより持続的な賃上げにつなげる必要がある」と明記されています。
つまり、補正で一度上がっても“そこで終わり”にしないために、臨時改定(報酬・加算の見直し)がセットで注目されている、という理解が最もブレません。
利用料(自己負担)や事業所収入への影響の見立て
処遇改善が介護報酬(公定価格)で行われるほど、利用者負担や保険料への影響は論点になりやすいです。
理由は、介護報酬が上がると、原則として利用者は自己負担割合(1〜3割)に応じて支払額が増え、保険財政側(保険料・公費)も負担が増えるためです。分科会資料でも「処遇改善を介護報酬で対応することは、利用者負担、そして保険料の負担のさらなる増加にもつながる」という趣旨の意見が示されています。
一方で、補正予算のように“補助金”で前倒しする場合は、利用料に直結しにくい形で賃上げを進めやすい面があります(ただし、制度設計次第で運用は変わります)。
なので、現場としては「賃上げ」だけでなく、利用者・家族への説明(負担増の可能性)や、経営(収支)への影響も同時に見ておくのが安全です。
現場が今すぐ準備すべきチェックリスト
今やるべき準備は「要件を満たして“取りこぼさない”こと」と「賃上げが“確実に職員へ届く設計”にすること」です。
理由は、補正の支援は“幅広く月1万円”がベースでも、上乗せ(0.5万円、0.4万円相当)には生産性向上・協働化、職場環境改善などの条件が付くため、準備の差がそのまま支援額や実装スピードに影響しやすいからです。
厚労省資料では、賃上げ支援(1万円)に加えて、生産性向上・協働化の取組で「月0.5万円上乗せ」、職場環境改善支援(人件費に充てた場合)で「月0.4万円相当」、いずれも「半年分」と整理されています。
したがって、最低限この5点を先に整えるのが現実的です。
引用元:厚生労働省 第249回社会保障審議会介護給付費分科会 介護人材確保に向けた処遇改善等の課題 資料 P.13
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「2025補正の賃上げ支援(半年)」+「2026年6月の臨時介護報酬改定」が焦点

現時点で現場の給料に直結しやすいのは、(1)2025年度補正による賃上げ支援(対象期間6か月)と、(2)2026年度の臨時介護報酬改定(来年6月実施が報道)の“二段構え”です。前者は「まず上げる」、後者は「続ける」ための仕組みとして位置づけられています。
確定に近いこと/まだ“議論中”のことを分けて整理
結論として、ここは“公式資料に書かれていること”と“報道・検討段階のこと”を分けるだけで、情報の混乱がかなり減ります。
理由は、賃上げや改定時期は注目度が高く、見出しだけが先行しやすいテーマだからです。
確定に近いこと(一次資料で確認できる)
補正予算による賃上げ支援は、厚労省の公式資料で「介護従事者に月1万円」「生産性向上・協働化で介護職員に月0.5万円上乗せ」「職場環境改善(人件費に充てた場合)月0.4万円相当」「いずれも半年分」と具体的に整理されています。ここから、介護職員は条件次第で最大“月1.9万円相当”になり得る設計だと読み取れます(1.0+0.5+0.4)。
また、分科会資料でも「対象期間6か月」「一時金で終わらせず、介護報酬改定で持続的な賃上げへ」という方向性は明確に示されています。
まだ“議論中”のこと(方針は見えるが、最終決定待ち)
臨時改定の具体的な実施日程は、報道で「2026年6月」と伝えられていますが、最終的には政府決定と厚労省通知で確定します。
また、臨時改定で「ケアマネ等も含めて処遇改善加算の対象を広げる」方向性も報じられており、分科会資料でも“全ての従事者(事務職を含む)”を視野に入れた議論が示されています。ただし、どのサービスをどんな要件で対象にするかは、今後の詰めで変わり得ます。
最後にもう一度まとめると、「補正(半年)でまず上げる」ことは資料で確認でき、次に「臨時改定で継続させる」ことが議論・報道として具体化してきている、という整理が現時点のファクトに最も忠実です。
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なぜ2026年度に「臨時改定」なのか?|背景は“人材不足×賃金格差×経営悪化”

介護報酬の臨時改定が議論されている最大の理由は、「人が足りない」「給料が追いつかない」「事業所の経営がもたない」が同時に進んでいるからです。
定期改定(通常の3年ごと)まで待つと、人材流出やサービス縮小が加速しかねないため、期中(臨時)のテコ入れが俎上に上がっています。
分科会資料に出てくる問題意識(賃上げ格差・持続性・対象拡大)
分科会資料が繰り返し示している問題意識は、「介護の賃上げが他産業より遅れて格差が広がり、今の枠組みのままだと“持続的に”賃上げしにくい」という点です。
その理由は、介護分野の処遇改善は「加算」や「補助」で上乗せする形が多く、一時的に上がっても、原資が切れれば元に戻りやすい構造になりがちだからです。実際、分科会の資料では、介護職員と全産業平均の賃金差が拡大していることが示され、処遇改善の強化が論点として整理されています。
さらに重要なのが「対象拡大」です。現行の処遇改善加算の枠組みでは、サービス類型によっては介護職員が配置されない(または算定上の整理が違う)ために対象外になりやすい領域があり、分科会では「介護に携わる職種・サービスを広く捉えて賃上げにつなげるべきでは」という論点が提示されています(※“次の定期改定=令和9年度”を待たずに、という文脈もここに含まれます)。
「介護事業経営概況調査」等から見る経営の厳しさ(物価高・人件費・赤字)
賃上げは“必要”でも、事業所の体力が落ちていると賃上げ原資を作りにくいという矛盾が起きます。だから、処遇改善(人件費)だけでなく、経営の安定(基本報酬や物価対応)も同時に論点になります。
介護給付費分科会では、経営状況(概況調査)や、物価高の影響(例えば食費の基準費用額の議論)など、“現場のコスト増”をどう扱うかがセットで話題になっています。
臨時改定は、「賃上げ」だけの話に見えて、実は介護サービスを維持するための“経営の下支え”という意味合いも含まれます。
引用元:厚生労働省 第249回社会保障審議会介護給付費分科会 介護人材確保に向けた処遇改善等の課題 資料 P.21
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スケジュール|介護職の賃上げは「いつから?」(2025→2026→次回定期改定)

結論を先にまとめると、賃上げのタイミングは ①補正(短期)→②臨時改定(中期)→③次の定期改定(長期) の順で考えるのが分かりやすいです。
2025年12月以降の賃上げ補助金:対象期間は“6か月”が前提
まず短期の山が、2025年度補正予算を財源とした「賃上げ・職場環境改善」の支援です。厚労省の事務連絡では、報酬改定の時期を待たずに緊急的に支援する趣旨が示され、自治体に対して可能な限り年内の予算化を進めるよう求めています。
また、介護給付費分科会の資料でも、この支援は「対象期間=6か月分」の設計が示されています。ここはファクトとして押さえてよい点です。
つまり現場感としては、制度が動き出せば「半年間は賃上げ原資が乗る」可能性が高い一方で、実際にいつの給与から反映されるかは、(1)補正の成立、(2)自治体の要綱・申請開始、(3)事業所の賃金規程・手当設計、の順に左右されると理解しておくのが安全です。
2026年度の臨時介護報酬改定:来年6月の実施が報じられている
次に中期の山が、2026年度の臨時(期中)介護報酬改定です。業界報道では、2026年6月に臨時改定を行い、処遇改善加算の対象をケアマネジメントや訪問看護・訪問リハ等に広げる案が示されたと報じられています(※政府決定・告示等で確定するまでは「報道ベース」扱いが妥当です)。
分科会資料の側でも、「次の定期改定(令和9年度)を待たずに」処遇改善を検討する文脈が明確に置かれており、臨時改定が“議論の中心テーマ”になっていることはファクトとして確認できます。
介護報酬改定の周期(過去〜次はいつ?)と「診療報酬との違い」
まず介護報酬は、原則として定期改定(3年ごと)で行われます。直近の定期改定は2024年度(令和6年度)で、次の定期改定は分科会資料でも令和9年度として位置づけられています。
一方、診療報酬は原則として2年ごとに改定されます。ここが介護報酬との大きな違いです。
もう1つ、現場で混乱しやすいのが「施行日」です。介護報酬は通常、年度替わり(4月)施行を前提に組まれてきましたが、診療報酬は近年「DX対応」などの事情で施行時期(例:6月1日施行)が論点になった経緯も整理されています。
なので今回の臨時改定は、いつもの「3年ごと定期改定」とは別物で、例外的に期中で改定して賃上げ・人材確保を急ぐ、という位置づけになります。
【2025補正】「医療・介護等支援パッケージ」で何が起きる?(賃上げ補助金の中身)

このパッケージは、令和7年度補正予算の枠組みの中で、介護分野の“人材確保”と“サービス継続”を同時に支えるために用意された施策群です。
賃上げ支援だけでなく、介護テクノロジー導入、経営の協働化、物価高対応(食材・移動経費等)なども含まれており、「現場が回り続けること」を目的にしています。
H3. 賃上げは「3階建て」:月1万円+上乗せ(最大1.9万円)の考え方
2025補正の賃上げ支援は「まず広く1万円、その上で“頑張る事業所・介護職員には上乗せ”」という設計です。理由は、介護現場は介護職員だけでなく多職種で回っているため“裾野を広く”支えつつ、人材流出が激しい介護職員には“厚めに”届くようにするためです。
具体的には、厚労省資料(パッケージ説明)で、①介護従事者に対する幅広い賃上げ支援「月1.0万円」、②協働化等に取り組む事業者の介護職員への上乗せ「月0.5万円」、③職場環境改善支援(人件費に充てた場合「月0.4万円相当」)が示されています。いずれも半年分で、対象期間は2025年12月〜2026年5月の賃上げ相当額、という前提が明記されています。
つまり現場目線では「全員1万円ベース+介護職員は最大1.9万円相当まで狙える(ただし半年限定)」が、この補正施策の読み方になります。
支給要件:処遇改善加算の取得/生産性向上・ICT等の取組(想定)
結論として、“誰でも無条件”ではなく、一定の要件を満たす事業所が対象です。理由は、補助を賃上げに確実につなげること(=計画と実績の確認)と、同時に「働きやすさ・生産性」を上げる取り組みを後押しする狙いがあるからです。
厚労省資料には、少なくとも次の方向性が示されています。
- 処遇改善加算を取得していることに加え、職場環境改善を計画し実施すること(要件は令和6年度補正の同種事業と同様、と明記)
- サービス類型によって、たとえば
- 居宅系(例:居宅介護支援など)は「ケアプランデータ連携システムに加入(または見込み)等」
- 施設・居住・多機能・短期入所等は「生産性向上加算ⅠまたはⅡを取得(または見込み)等」
ここで注意したいファクトチェックは2点です。
「ICTをやれば必ず上乗せ」ではなく、サービス類型ごとの要件として整理されている点が重要です(同じICTでも扱いが異なる可能性がある)。
いま挙がっている要件は、少なくとも国資料に「加入(見込み)」「取得(見込み)」「同様」として示されていますが、最終的な細目(提出書類・判断基準)は、今後の実施要綱等で確定していきます。
事業所の実務フロー(いつ・何を準備?)
結論はシンプルで、「申請(計画)→交付→実績報告」です。理由は、公費(補助金)で賃上げを支援する以上、「計画どおり賃金改善が行われたか」を後から確認できる形にする必要があるからです。
厚労省資料の“執行のイメージ”では、都道府県を窓口に、
- 申請(計画書等を提出)
- 交付決定→補助金交付
- 事業実施後、報告(実績報告書を提出)
という流れが明記されています。
現場が「今すぐ」準備するとしたら、実務的には次の3点に集約されます。
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【2026臨時改定】社保審(介護給付費分科会)での議論まとめ(2025/12時点)

前提として、ここで扱うのは「政府決定」ではなく、介護給付費分科会の資料に整理された“主な意見・論点”です。つまり、方向性を読む材料にはなりますが、確定情報として断言できるのは“議論されている内容”までです。
論点1:処遇改善の考え方(補正を恒久化/全産業平均との差)
分科会資料では「補正の半年支援を“一時金で終わらせず”、臨時改定で持続的な賃上げにつなげるべき」という問題意識が強く出ています。
理由は、介護の人材不足と他産業との賃金差が続く限り、補助金だけでは人材流出が止まらず、サービス継続自体が危うくなるからです。
資料には、「対象期間が6か月だが、一時金で終わらせず、介護報酬改定で持続的賃上げへ」という趣旨の意見が整理されています。また、賃金水準についても、「全産業平均と遜色のない水準を目指す」「介護職員の給与は全産業平均より月額で8万円以上低い」といった問題提起が記載されています。
ここから読み取れるのは、2026臨時改定が本当に動くなら、「補正の上乗せを“つなぐ”設計(恒久化)」と「平均との差の縮小」が中核テーマになりやすい、という点です。
論点2:対象範囲(“介護に携わる全スタッフ”/対象外サービスの扱い)
対象は「介護職員だけ」に閉じない方向の議論が目立ちます。理由は、介護現場は介護職員だけで成立せず、事務・調理・施設管理・相談員・ケアマネ等を含めた“チーム”が崩れると運営が止まるからです。
分科会資料には、「事務職員も含めた介護分野に係る全ての従事者」という表現があり、さらに「処遇改善加算は介護従事者処遇改善加算と衣替えして対応すべき」という意見まで整理されています。
また、対象外サービスの扱いに関しても、補正予算案では居宅介護支援事業所・訪問看護事業所・訪問リハビリ事業所に対象を拡大していることを踏まえ、臨時改定でも同様に幅広い範囲にすべき、という趣旨の意見が載っています。
つまり「ケアマネや訪問看護は対象になる?」という検索意図に対しては、“すでに補正では拡大の考え方が示され、臨時改定でも同様の拡大を求める意見が出ている”——ここまでは資料ベースで言えます(ただし、最終決定は別)。
論点3:要件(キャリアパス・職場環境・生産性要件の見直し)
結論は、「要件は“厳しくする/増やす”より、実効性を高めつつ事務負担を減らす方向が争点になりやすい」です。理由は、賃上げを広げるほど申請・報告が複雑化すると、現場の事務負担が跳ね上がり、制度が“回らない”リスクが出るからです。
分科会資料では、
といった意見が整理されています。
一方で、「賃上げとセットで生産性向上(ICT・テクノロジー、業務効率化)を進めるべき」「上位加算のインセンティブにつながる要件見直しもセットで」という意見も明記されており、“生産性を要件にどう位置づけるか”も論点です。
現在の介護職員等処遇改善加算(新加算)は、国のリーフレットで、算定要件が大きく ①キャリアパス要件 ②月額賃金改善要件 ③職場環境等要件 の3本柱だと示されています。
同リーフレットにはキャリアパス要件の内訳(任用・賃金体系、研修、昇給の仕組み、一定水準の賃金など)も整理されています。
したがって「臨時改定で要件が変わる?」という問いへの現時点の答えは、“現行は3本柱。分科会では『簡素化』と『生産性等とセット』の意見が出ているので、要件の“形”が見直される可能性はあるが、確定ではない”が最も正確です。
「介護従事者全般」とは?|賃上げ対象職種を“現場目線”で整理

「介護従事者全般」は、現場を支えている“介護職員以外”も含めて処遇改善(賃上げ)を考えるべき、という文脈で使われています。
介護給付費分科会(第250回)の資料では、介護の質と継続性は多職種協働で成り立つため、特定職種に限定せず幅広い職種を対象にすべきという問題意識が示されています。
介護職員だけじゃない?(ケアマネ・訪問看護・リハ・事務職・送迎等)
議論の“射程”は介護職員だけに留まりません。分科会資料の記載では、直接ケアに入る介護職員に加えて、看護職員、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネ)、生活相談員などの専門職、さらに事務員、調理員、施設管理に携わる職員なども含めて、現場が回っていると整理されています。
現場でイメージしやすく言い換えると、例えば特養なら――
調理・環境整備・送迎・施設管理(生活基盤の維持)
こうした役割が噛み合って、はじめて「安全で継続的な介護サービス」になります。だからこそ、“介護職だけ上げる”と現場の分断が起きやすい、というのが分科会で繰り返し扱われているポイントです。
現行で対象外になりがちなサービス(訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等)
結論から言うと、現行制度では処遇改善の“対象の線引き”がサービス類型で分かれており、そこが見直し論点になっています。
分科会資料では、補正予算案(賃上げ支援)が処遇改善加算の対象になっていない居宅介護支援、訪問看護、訪問リハビリにも対象を広げている、という整理が示されています。
つまり、今後の議論は「介護保険の中でも、どのサービス・どの職種まで“同じ土俵”に載せるか」が焦点です。
現場対応としては、ここを“対象かどうか”を思い込みで判断しないのが重要です。補正(補助金)と報酬(加算)で線引きが違う可能性があり、対象範囲は国の通知・要綱で最終確定します(分科会資料は議論整理の一次資料)。
令和8年度「特例要件(生産性向上・協働化)」とは?(推進→要件化の可能性)

いま出ている情報を“現場向けに翻訳”すると、「賃上げの原資を出す代わりに、ムダを減らす仕組み(生産性向上)や、単独で抱えない運営(協働化)も一緒に進めよう」という方向性です。
実際、国の総合経済対策に紐づく「医療・介護等支援パッケージ」では、賃上げ支援と並んで、ICT等のテクノロジー導入・経営の協働化・訪問介護やケアマネの提供体制確保を支援することが明記されています。
そして、2025年度補正の事業概要では、賃上げ支援が「一律部分」だけでなく、生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員に月0.5万円を上乗せする設計が示されています(半年分)。
この“上乗せ設計”がある以上、2026年の臨時改定(報酬側)でも、同様の取組が「推奨」から「要件(やらないと評価されにくい)」へ寄っていく可能性は十分あります(※ただし、ここは今後の決定待ちです)。
いま準備しておくと強いこと(ICT・DX・協働化)
「特例要件っぽいもの」が来た時に強いのは、派手な新規事業ではなく、“説明できる改善”を先に作っておくことです。
- ICT・介護テクノロジーの導入・定着:介護記録ソフト等の導入・定着を支援対象にしている、と国が明言しています。
- 協働化(ひとつの事業所で抱えない):同じく支援対象に「経営の協働化」を掲げています。
- 例:共同採用・合同研修、物品の共同購入、送迎や事務の共同化、夜間オンコールの協力体制、近隣事業所とのバックアップ協定 など
- 「やった証拠」を残す:補助金・加算は最後に“説明資料”が効きます。
- 導入前後で何が減ったか(記録時間、残業、二度手間、ヒヤリハット等)を、月次で簡単にメモしておく
- 会議体(生産性・業務改善)の議事録、研修記録、マニュアル改訂履歴を残す
要するに、「賃上げのために補助金・加算を取る」ではなく、「賃上げを継続できる運営に変える」というストーリーを、今のうちに作っておくのが一番強いです。国のパッケージも、その方向で設計されています。
引用元:厚生労働省 第249回社会保障審議会介護給付費分科会 介護人材確保に向けた処遇改善等の課題 資料 P.41
※ 介護現場の生産性向上について詳しく知りたい方はこちら>>>https://asu-asu.blog/seisanseikojujou-tetteikaisetu/
利用料はどうなる?|「給料が上がる」と同時に起こりうる負担増も整理

まず大前提として、介護保険サービスの利用料(自己負担)は、原則 1〜3割です。施設利用では、これに加えて居住費・食費・日常生活費の負担も必要になります。
ここから先は、過度に不安を煽らずに、事実だけ整理します。
介護報酬が上がると、利用者負担(1〜3割)にも影響し得る
介護報酬(=サービスの“値段”に近いもの)が見直されると、同じサービスを同じ回数使っていても、自己負担額が変わる可能性があります。
ただし、影響の出方は一律ではありません。理由はシンプルで、利用者ごとに
- 何のサービスをどれだけ使っているか
- 負担割合が1割か2割か3割か
- 施設か在宅か(食費・居住費が別枠になる)
が違うからです。
なので「賃上げ=良い話」だけで終わらせず、家族説明の場でよく出る一言(例:「給料が上がるのは賛成。でも利用料はどうなる?」)に答えられるよう、“上がる可能性がある/ただし個別に違う”までをセットで理解するのが信頼につながります。
施設の食費(基準費用額)見直し論点と現場への影響
施設の食費は、介護報酬とは別に、制度上「基準費用額」という考え方で整理されています。分科会資料でも、基準費用額は法律に基づき、食事提供や居住に要する平均的費用などを勘案して定め、事情が著しく変動したときは速やかに改定すべきことが示されています。
重要なのはここからで、現場の“実コスト”が上がっていることがデータで出ています。
この論点が改定で動くと、現場には次の2つが同時に来やすいです。
つまり、施設経営だけの話では終わりません。家族説明用に、何が(食費・居住費・サービス費)、どの制度枠で(基準費用額/介護報酬)、誰に(利用者・施設・保険財政)影響するのかを、図で整理しておくと揉めにくいです。
FAQ

Q:介護給料は2026年に上がる?いつから?
確度が高いのは、経済対策に基づく“緊急的な賃上げ・職場環境改善の支援”が動くことです。厚労省の通知(介護保険最新情報)では、総合経済対策を受けて介護分野で賃上げ・職場環境改善を支援する枠組みが示されています。
一方で、2026年6月の臨時介護報酬改定については、現時点では「報道がある段階」で、政府決定や告示が出るまでは確定と言い切れません(時期は報道ベース)。
ただし分科会資料(第250回)には、次の定期改定(令和9年度)を待たず臨時改定が必要という問題意識が明確に整理されており、現場の注目が集まっているポイントです。
Q:介護職の賃上げ対象は誰?ケアマネも?
「介護職員だけの話」にしない方向の議論が強まっています。分科会資料(第250回)では、人材不足は介護職員だけでなく、事務職員も含む“介護分野に係る全ての従事者”で同様という意見が整理されています。
さらに、補正予算案の考え方として、居宅介護支援(ケアマネ)、訪問看護、訪問リハ等の従事者にも対象を拡大していることを踏まえるという整理も載っています(※これも「意見」の整理であり決定ではありません)。
現場の実務としては、ケアマネや事務職も含め「介護サービスを支える職種全体で賃上げを設計する」ほうが、離職防止と採用に効きやすいです。
Q:最大1.9万円って“誰でも”もらえる?条件は?
“誰でも無条件”ではなく、制度としては「賃金改善の実施」と「手続き(計画・実績報告等)」がセットになるのが基本です。
数字の中身は、厚労省の通知で「6か月分」として、
- 介護分野の全ての職員に 月1万円
- 介護職員には上乗せ(例:0.5万円+0.4万円)
という“考え方(設計)”が示されています。
分科会資料(第250回)にも、補正予算案として「全ての介護従事者に1万円、介護職員は最大月1.9万円」という整理が出ています(こちらも会議意見の整理)。
なので現場では、「自事業所は“上乗せ対象になり得る職種・配置・算定状況”か」を先に確認しておくのが安全です。
Q:介護報酬が上がると利用料も上がる?
原則として、介護保険サービスの自己負担は1〜3割なので、介護報酬(サービスの単価)が上がれば、利用者負担も同じ割合で増える可能性があります。
ただし、利用者負担には所得区分や上限(高額介護サービス費など)も絡むため、「全員が一律に同じだけ上がる」とは限りません。
ここは施設として、賃上げ(人材確保)と利用者負担(家計・生活)を同時に扱うテーマなので、説明は「上がる可能性がある/ただし制度上の上限や区分がある」をセットにしておくと信頼を落としません。
Q:2026臨時改定と、次の定期改定(令和9年度)の関係は?
定期改定は原則「一定周期」で行われる一方、臨時改定は“例外”として入るもの、という理解でOKです。分科会資料(第250回)では、令和9年度に予定される次の定期改定を待たずに臨時改定が必要という問題意識が整理されています。
今回の話題はまさにこの「例外(臨時改定)を入れてでも、人材流出と経営悪化に先に手を打つべきか」が焦点になっています。
加えて、総合経済対策を受けた厚労省通知でも「令和8年度改定の時期を待たず」緊急的対応を行う趣旨が示されています。
まとめ
いま現場が押さえるべきは ①2025補正の「賃上げ支援(半年)」 と ②2026年度の「臨時介護報酬改定(期中改定)」の議論 の“二段構え”です。補正は早く届く一方で期間が限られるため、社保審・介護給付費分科会では「一時金で終わらせず、報酬(加算)の仕組みで持続的な賃上げへ」という問題意識が強く示されています。
賃上げの対象も「介護職員だけ」ではなく、ケアマネや訪問看護・訪問リハ、事務職など “介護に携わる全スタッフ” を視野に入れた議論が進んでいる点がポイントです(最終的な対象・要件は今後の政府決定・通知で確定)。
事業所が今すぐできることは、加算の取得状況の棚卸し/賃金改善の設計(基本給・手当・一時金の使い分け)/生産性向上の証拠づくり(ICT・協働化)/一次情報の定点観測の4つです。分科会資料と厚労省通知(介護保険最新情報)、政府の経済対策を押さえておけば、情報が出た瞬間に“取りこぼしなく”動けます。
一次資料リンク(ここだけ見れば追える)
- 厚労省:社会保障審議会(介護給付費分科会)
- 厚労省:第250回 介護給付費分科会 資料(2025/12/12)
- 厚労省:令和6年度介護報酬改定(通知・Q&A 等)
- WAM:介護保険最新情報(通知一覧)
- 内閣府:総合経済対策(2025/11/21 閣議決定)




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