【2025年最新】介護施設の費用は年金でまかなえる? 公的施設から民間施設、補助制度まで徹底解説

 近年、「介護施設 費用 年金」というキーワードで情報収集する方が増えています。高齢化社会が進む中、ご両親の施設を探されている方や、ご自身の老後に備えたい方にとって、介護施設の費用と年金とのバランスは大きな関心事ではないでしょうか。

 本記事では、公的施設から民間施設、さらには年金収入だけでは足りない場合の補助制度までを網羅的に解説します。国民年金や厚生年金の受給額の実態を踏まえつつ、比較的費用を抑えられる施設選びや、費用軽減の制度をご紹介します。

 科学的データや公的資料を引用しながら、分かりやすく掘り下げていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

介護施設にかかる費用の基本を知ろう

 介護施設を探す際、まず把握しておきたいのが「初期費用」と「月額費用」の内訳です。知らないまま入居先を決めてしまうと、「こんなにお金がかかるとは思わなかった」と後悔するケースも少なくありません。介護施設の費用を正しく理解することで、年金や貯蓄でどこまでまかなえるかをイメージし、適切な施設選びが可能になります。

 日本では公的施設と民間施設が混在しており、施設の種類によって費用構造が異なるのが大きな理由です。公的施設は「入居一時金なし・月額費用が比較的安い」傾向がある一方、民間施設は「入居一時金や家賃、管理費などが加算される」ケースが多いです。加えて、食費やオプション費用(おむつ代や洗濯代など)も施設ごとに違うため、総額が大きく変わります。

 費用を比較する際は、「初期費用+月額費用の内訳」を細かくチェックし、年金収入でまかなえるのか、あるいはどれくらい不足するのかを把握しておきましょう。費用の透明性をしっかり確認することが、安心して老後を過ごすための第一歩です。

初期費用(入居一時金)
民間の有料老人ホームの場合、数十万〜数千万円と幅広い
公的施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など)は入居一時金が基本的にゼロ〜少額

月額費用
家賃相当額・食費・管理費・介護サービス費(自己負担分)などを合算
公的施設:5万円〜15万円前後
民間施設:10万円〜30万円以上になる場合も


厚生年金・国民年金の平均受給額と老後にかかる費用

 介護施設の費用を年金でまかなえるかどうかを考えるには、まず現実的な受給額を知ることが必須です。年金の種類(厚生年金・国民年金)や加入期間によって受給額は異なるため、「平均受給額」と「自身の年金見込額」をしっかり把握しましょう。

国民年金は加入実績が短いと受給額がさらに低い
平均受給額が月5〜6万円程度と言われており、それだけでは生活費や介護費用を十分にまかなうのは厳しい状況です。

厚生年金は国民年金より高額だが個人差が大きい
勤続年数や給与水準、加入期間によって変動します。夫婦合算であれば月20万円程度になる場合もありますが、単身なら10〜15万円程度にとどまる方も多いです。

参考データ:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、

国民年金の老齢基礎年金の平均月額:約5.6万円

厚生年金(老齢)の平均月額(全体):約14.4万円

引用元:厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 P.21 令和4年12月
引用元:厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 P.28 令和4年12月

老後にかかる生活費:総務省の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の月平均支出は約28万円と言われていますが、個人差は大きく、持ち家があるかどうか、医療費がかかるかどうかでも変わります。

介護費用:在宅介護の場合と施設介護の場合では負担額が異なり、要介護度によっても変動します。要介護度が高いと、自己負担額が増える場合があります。

引用元:家 計 調 査 報 告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要 P.18

「年金+α」の資金計画が必要な可能性が高い、というのが現状です。特に国民年金のみの受給者は、公的施設への入居や各種制度の活用を早めに検討しておくことが大切です。

介護施設の種類によって費用はどう変わる?

 介護施設には、公的な施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、ケアハウス)と、民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、グループホームなどがあります。施設の種類ごとに費用やサービス内容が大きく異なるため、自分(または家族)の要介護度や資金状況を考慮して選ぶことが重要です。

公的施設:運営主体が自治体や社会福祉法人で、入居一時金が不要 or 少額の場合がほとんど。費用も安価に抑えられ、特別養護老人ホームなどは低所得者向けの負担軽減制度も充実。

民間施設:株式会社などが運営しており、サービスや設備が充実している反面、入居一時金や月額費用が高額になりやすい。選択肢は豊富だが、費用面のハードルが上がる。

特別養護老人ホーム(特養)
要介護3以上でないと原則入居できない
人気が高く、待機者が多い
費用は月5万〜15万円程度(所得や要介護度による)

有料老人ホーム
介護付き・住宅型・健康型などタイプが分かれる
入居一時金が0〜数千万円と幅広く、月額費用は10〜30万円以上になるケースも
サービスや設備、立地で差別化されている

 施設選びは、費用だけでなく、本人の身体状態・医療体制・サービス内容やスタッフの充実度を含めた総合判断が必要です。しかし、費用面の見通しをまずは立てることが、長期的に安心して利用できる施設を選ぶうえで欠かせないでしょう。

年金だけで入居可能な公的施設4選

 「年金だけでなんとか費用をまかないたい!」と考える方には、公的施設を検討するのが最も現実的な選択肢です。特に、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、介護医療院、ケアハウスは、比較的低額な費用での利用が期待できます。

公的施設は国や自治体の支援を受けやすく、低所得者向けの負担軽減制度が整っているケースが多いため、国民年金のみであっても入居が不可能ではありません。

ただし、要介護度の条件や、自立度合いによる受け入れ制限があるほか、人気が高いゆえに待機期間が長いというデメリットも存在します。

【Example】

特別養護老人ホーム(特養)
【入居条件】原則要介護3以上
【月額費用】平均して5万~15万円程度
【待機リスク】重度介護が必要な方が優先されるため、軽度要介護の方は待機期間が長くなる傾向

介護老人保健施設(老健)
【入居条件】在宅復帰を目指す要介護1〜5の方
【費用】月6万〜15万円程度(所得や要介護度による)
【入居期間】リハビリを目的とするため、原則3〜6ヶ月程度の中期利用が基本

介護医療院
【入居条件】日常的に医療ケアが必要な要介護1〜5
【費用】医療費込みでも月7万〜15万円程度(要介護度や医療サービスの内容によって変動)

ケアハウス(軽費老人ホーム)
【入居条件】比較的自立度が高い方や要支援・要介護軽度の方
【費用】月5万〜10万円程度(食費込みで変動)
【特徴】身寄りがない方、高齢単身者でも比較的利用しやすい

 公的施設は「年金だけで利用できる可能性がある施設」として非常に有力な選択肢です。待機リスクや要介護度などの条件を確認し、もし該当するようであれば早めに申請・情報収集を始めることで、将来の不安を軽減できます。

民間施設への入居は年金だけで厳しい?対策と選び方のコツ

 民間施設(有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など)はサービス内容が充実している反面、費用が公的施設よりも高い傾向があります。年金収入だけでは賄いきれないことが多く、不足分を補う対策が必要です。

民間施設の費用構造
入居一時金や家賃、管理費、食費などが公的施設より高額に設定されている場合が多いです。とくに立地条件や設備が充実している施設ほど月額費用が高くなる傾向があります。

サービスの選択肢は豊富
リハビリ特化型や認知症ケア専門、ホテルのような豪華設備など、多様なサービスを提供しているため、「費用に見合う価値」を得られる反面、家計と相談が欠かせません。

介護付き有料老人ホーム
24時間介護スタッフが常駐している
入居一時金:0〜数千万円
月額費用:15〜30万円以上になるケースも

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー構造や生活支援サービスが義務付けられている
入居一時金が不要な場合もあり
月額費用:10万〜25万円程度

 民間施設を選ぶ際は、「どのようなサービスが必要か」「どの程度の費用なら家計で負担できるか」を家族や専門家としっかり話し合うことが重要です。また、ハウス・リースバックや民間の介護保険商品を活用するなど、不足分を補う手段を早めに検討しましょう。

年金収入では足りない場合に使える補助制度・サービス

 国民年金だけ、あるいは厚生年金でも十分な受給額がない場合でも、各種補助制度やサービスを活用することで、負担を大きく軽減できる可能性があります。具体的には、生活保護や特定入所者介護サービス費、高額介護サービス費などが代表的な制度です。

【Reason】

生活保護
現在収入がほとんどなく、資産も乏しい場合は、生活保護を受給することで公的施設への入居や民間施設の費用軽減が可能になる場合があります。

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)
特別養護老人ホームや老人保健施設などの食費や居住費を軽減してくれる制度
要件:所得や資産が一定以下
軽減内容:食費・居住費の負担限度額が設定される
例:月額5万円以上軽減されるケースも存在
自治体の窓口で申請し、認定されることで適用

高額介護サービス費 / 高額介護合算療養費
介護保険や医療保険の自己負担額が、一定の上限を超えた場合に払い戻される制度

介護保険料の減免制度
所得が低い被保険者に対して、市町村、社会福祉法人が減免措置を講じる場合がある

生活福祉資金の貸付制度(社会福祉協議会などが運営)
一時的に介護サービス費用や生活費を工面できない場合、無利子または低利子で貸付けを受けられる可能性がある

 年金だけでは入居が難しいと感じたら、まずは市区町村の役所や地域包括支援センターに相談してみましょう。各種制度の申請や利用方法を教えてもらいながら、状況に応じて「生活保護」「特定入所者介護サービス費」「高額介護サービス費」などの制度をフルに活用することで、負担を大きく下げることができます。

老人ホームの費用を抑える3つのコツ

 介護施設を選ぶ際に、費用を少しでも抑える方法を知っておくと、年金だけでの支払いがより現実的になるかもしれません。「立地条件の見直し」「居室タイプの選択」「サービス内容の取捨選択」など、費用軽減のテクニックはいくつかあります。

立地によって家賃相当額や設備費用が異なる
駅チカで新築の施設ほど家賃や管理費が高く設定される傾向があります。逆に郊外や築年数が経過している施設では費用が低めに設定されている場合が多いです。

多床室タイプを選ぶと個室より安い
一人部屋よりも相部屋のほうが家賃相当額や光熱費を抑えられるケースが多いため、コストを重視するなら多床室を検討する価値があります。

不要なオプションサービスを削る
施設によってはおむつ代やレクリエーション費、洗濯代など追加オプションが細かく設定されていることがあります。これらを見直すだけでも月額費用が下がる可能性があります。

都市部から離れた郊外の施設を選ぶ
都心に比べて月額費用が1〜3万円ほど安くなるケースも

個室ではなく多床室(相部屋)を選ぶ
月あたり数万円単位で安くなる可能性がある

施設のオプション費用を確認・交渉する
食費や雑費、光熱費、レクリエーション費などの内訳を精査
「使わないサービスならば不要」と交渉できる場合がある

 「自分に必要なサービス」と「妥協できる要素」を明確にして、施設に相談・交渉するのがポイントです。施設によっては条件の相談に応じてくれるケースもあるため、費用を抑える選択肢を探してみましょう。

老後の資金計画を立てよう

 介護施設の費用を年金だけで確保するのは難しいケースが多いのが現実です。そこで、早めの資金計画や資産活用が重要になります。民間の介護保険商品や不動産活用など、年金+αの収入源を確保しておくことで、将来の選択肢が広がります。

老後の支出は「想定外の医療費」「介護費用」が発生しやすい
年金だけでは捉えきれない突発的な出費があるため、貯蓄や他の収入手段を確保しておく必要があります。

自宅を持っている方は資産活用で入居資金を作る方法も
「ハウス・リースバック」などを利用することで、自宅を売却しつつも引き続き住み続けることが可能。まとまった資金を作りやすいため、介護施設の入居金に回す選択肢も見えてきます。

民間の介護保険商品
介護が必要になった際にまとまった一時金や年金を受け取れる商品がある
保険料と給付内容をしっかり比較検討することが大切

ハウス・リースバック
自宅を専門業者に買い取ってもらい、賃貸契約を結んでそのまま住み続ける仕組み
まとまった売却益を介護施設の費用に充てられる

 老後の生活設計は、「公的年金」「民間保険」「資産運用・活用」をバランスよく組み合わせることがカギです。早い段階で情報を収集し、必要に応じてファイナンシャルプランナー(FP)やケアマネジャーなど専門家に相談することで、自分に合った資金計画を立てやすくなります。

まとめ:年金と補助制度を上手に活用して安心の介護生活を

 高齢化が進む日本では、「介護施設の費用を年金でまかなえるか?」が多くの人にとって切実な問題です。公的施設・民間施設それぞれの特徴を理解し、年金受給額や各種補助制度、不動産活用などを含めた総合的な資金計画を立てることが非常に重要です。

公的施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・ケアハウス)なら費用が安めで、年金だけでも入居が可能な場合があります。しかし、要介護度の条件や待機期間が長い点に注意が必要です。

民間施設(有料老人ホーム・サ高住など)はサービスが充実している一方、費用が高額になりやすく、年金だけでは不足することが多いです。

補助制度(特定入所者介護サービス費、高額介護サービス費、生活保護など)を活用すると、負担を大幅に軽減できる可能性があります。

年金だけで厳しい場合:生活保護や特定入所者介護サービス費を申請し、公的施設に入居

まだ余裕がある場合:民間の介護保険商品やハウス・リースバックを活用し、自分が望むサービスの整った施設を選ぶ

 「年金でまかなえる施設を探す」だけでなく、「どうすれば家計に無理なく希望の介護を実現できるか?」を考えることが大切です。早めの情報収集と相談を行い、自分や家族の状況に合った最適な選択肢を見つけてください。しっかり備えておくことで、安心して快適なセカンドライフを過ごすことができるはずです。

 お読みいただきありがとうございました。分からない点や詳しい状況に合わせた相談は、市区町村の窓口やケアマネジャーなどの専門家に早めにご相談ください。あなたとご家族の介護生活が安心で快適なものとなるよう願っております。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次