介護職の夜勤手当の相場は?高収入を得るためのポイントと働き方介護職の夜勤手当相場と高収入を得る方法

 介護職の夜勤手当は施設によって異なり、働き方によっても収入に大きな差が生じることがあります。今回は、介護職の夜勤手当の相場や、夜勤専従として働くためのポイントを徹底解説。

 高収入を得るためのコツや、長く続けるための工夫についても触れていきます。これから介護職で夜勤を検討している方、夜勤手当について気になる方必見です。

目次

介護職の夜勤手当相場

夜勤手当と地域差の関係|総収入データから見える傾向

 夜勤手当そのものについて、都市部が高く地方が低いとする明確な統計データは存在しませんが、介護労働安定センターの調査(※1)では、介護職員の総収入には明らかな地域差があることが示されています。

 例えば、首都圏や政令指定都市などでは平均給与が全国平均を上回る傾向にあり、地方圏ではそれを下回る傾向が確認されています。

 この総収入の地域差は、夜勤手当を含む各種手当額にも影響している可能性が高く、地域によって夜勤手当水準に差があると考えるのは自然です。

 したがって、勤務先を選ぶ際には、地域ごとの給与水準と夜勤手当の設定額の両方を確認することが重要です。

※1 公益社団法人介護労働安定センター 令和6年度介護労働実態調査結果

業態によって異なる夜勤手当の大きな格差

 夜勤手当は同じ介護業界内でも、施設の業態によって大きく金額差が生じることが、2023年の日本医療労働組合連合会の調査から明らかになっています。

 たとえば、2交替制夜勤の「最高額」を比較すると、最も高いのは介護老人保健施設(老健)の12,900円、最も低いのは介護医療院の7,000円で、その差は5,900円に及びます。さらに、同じ老健内でも最高額と最低額の差は約7,900円と、施設間の支給額格差は非常に大きい結果です。

 また、最も低額だったのは看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の3,200円で、夜勤業務の負担に対して手当が極めて低いケースも存在します。

 3交替制夜勤でも同様に格差が見られ、最高額の比較では準夜勤で約1,000円、深夜勤で約900円の業態間格差があります。さらに、同一業態内でも準夜・老健で約2,829円、深夜・短期入所で約2,540円の差があり、夜勤手当は業態間だけでなく、同業態内でも支給額の幅が大きいことが分かります。

引用元:日本医療労働組合連合会 2023年 介護施設夜勤実態調査結果

資格・経験の影響

 介護職における夜勤手当は、一律で設定されている場合がほとんどで、資格や経験によっても大きく変わることはありません。

 しかし、介護福祉士などの資格を有する場合、その資格を持たない職員に比べて介護職員処遇改善手当が支給されるため、資格を有することにより月収、年収で差がついてきます。

 また、経験が豊富な介護職員は、夜勤の業務をスムーズにこなすことができるため、施設側からの信頼も高く、その結果、昇給や昇格に影響することも少なくありません。

 このように、資格と経験は夜勤手当に直接的な影響を与え、より高い収入を得るためには、資格の取得や経験の積み重ねが重要であると言えます。

夜勤手当が高い施設・低い施設

夜勤手当が高い施設

 夜勤手当が高い施設には、主に大手法人が運営する有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅が該当します。これらの施設は、収益性が高く、経済的に安定しているため、職員に対して高い夜勤手当を支給することができます。

 また、都市部の大規模な施設や、医療法人が運営する介護施設では、施設の収益性を重視し、職員の待遇改善に力を入れているため、夜勤手当が相対的に高くなります。例えば、有料老人ホームでは夜勤1回あたり10,000円以上が支給されることもあり、これに加えて深夜割増や特別手当がつく場合もあります。

 このような施設では、高収入を目指す介護職員にとって、夜勤手当が魅力的な条件となります。高い夜勤手当が支給される施設で働くことで、生活の質を維持しつつ、より多くの収入を得ることが可能です。

夜勤手当が低い施設

 一方で、夜勤手当が低い施設も存在します。主に、小規模な地域密着型のグループホームや特別養護老人ホームなどの施設が該当します。これらの施設は、公共資金や地域の助成金に頼って運営されている場合が多く、収益性が低いため、夜勤手当が相対的に低く設定されることがあります。

 特に、グループホームでは利用者の数が少ないため、職員1人あたりの業務負担が少なく、法人が大型施設と手当てに差をつける場合があります。そのため、夜勤1回あたり4,000〜8,000円程度の手当が支給されることが一般的です。

 低い夜勤手当の施設で働く場合、他の福利厚生や勤務条件を比較して、総合的にメリットがあるかどうかを見極める必要があります。

実績

 実績として、夜勤手当が高い施設では、10,000円以上の支給が一般的である一方、低い施設では4,000円~8,000円程度が多く見られます。

 例えば、東京都内の有料老人ホームでは夜勤1回あたり8,000円~12,000円が支給されることもあり、特に夜勤専従の職員には、月収で30万円以上の高収入が期待できるケースもあります。

 このように、施設の規模や地域、法人の運営方針によって、夜勤手当には大きな差が出ることがわかります。

 施設を選ぶ際には、夜勤手当の額だけでなく、業務内容や福利厚生、施設の働きやすさなども考慮し、自分にとって最適な職場を選ぶことが大切です。

介護職員の夜勤手当の種類

深夜割増

 深夜割増は、夜勤手当の中でも特に重要な要素です。これは、深夜時間帯(通常は午後10時から午前5時)に勤務した場合に、通常の賃金に25%以上の割増が適用されるものです。労働基準法に基づき、夜間勤務に対しては法定の割増賃金が支払われることが義務づけられています。

 例えば、通常時給1,000円の介護職員が夜勤をした場合、深夜割増が適用されると時給1,250円になり、勤務時間に応じてその分の追加支給を受けることができます。深夜割増は、夜勤の大きなメリットであり、夜勤をすることで給与の増加が期待できる要因となります。

 この割増賃金は、施設が夜勤に従事する職員に対して支給する基本的な給与の一部として位置づけられ、特に夜勤専従の職員にとっては収入を大きく増やす要素となります。

介護職員処遇改善加算

 介護職員処遇改善加算は、介護職員の待遇向上を目的とした政府の政策に基づく加算です。

 この加算は、特に介護施設が受け取るもので、夜勤手当や基本給などの一部に上乗せされることがあります。処遇改善加算は、施設が労働環境の改善を目的に、職員への給与の支払いを増額するために使われます。

 この加算は、施設の規模や運営の仕組みによって変動しますが、職員全体の給与に上乗せされるため、夜勤手当としても支給されることがあります。

 加算額は、地域や施設の条件によって異なりますが、職員の処遇改善を促すために支給される大切な手当の一部です。

準夜勤手当

 準夜勤手当は、深夜勤務の直前の時間帯に勤務することに対して支給される手当です。

 具体的には、夜勤が始まる前の午後3時から午後10時までの時間帯に勤務した場合、その勤務時間に対して準夜勤手当が支給されます。

 この手当は、夜勤の一部として、深夜勤務の前段階に働く職員に支給されるもので、深夜勤務に比べると若干低めに設定されています。

 準夜勤手当は、通常の勤務時間帯に比べて高い給与を支払うため、夜勤の準備や夜間業務の重要性を評価する手当となっています。

介護職の夜勤で給料を上げるポイント

夜勤回数を増やす

 夜勤回数を増やすことで、夜勤手当の総額を増加させることができます。

 夜勤は高収入を得るための重要な要素であり、夜勤回数を増やすことで、月々の給与を大きくアップさせることが可能です。特に夜勤専従として働くことで、1ヶ月あたりの夜勤回数を増やし、その分の手当を確実に受け取ることができます。

 例えば、通常の介護職員が月に5回夜勤をこなす場合に比べ、夜勤専従の介護職員は月に10回以上夜勤を入れることができるため、その分手当も増え、給与全体が大きく向上します。

 月に10回の夜勤をこなすことで、夜勤手当だけで6,000円×10回=60,000円の追加収入が見込めます。夜勤回数を増やすことで、生活費の補填や貯金を増やすことが可能になります。

深夜勤務を増やす

 深夜勤務を増やすことで、夜勤手当の割増賃金を最大化できます。深夜割増は通常の賃金に25%以上の増額が加わるため、深夜時間帯の勤務が増えるとその分、給与の増加が期待できます。

 例えば、夜勤が午後10時から勤務を開始する場合、その勤務時間の一部で深夜割増が適用されることになります。深夜勤務を増やすためには、勤務シフトで深夜時間帯に積極的に参加することが求められます。

 深夜割増を活用することで、例えば通常の時給1,000円の職員が深夜勤務で時給1,250円になれば、1回の夜勤でさらに多くの収入を得ることができます。このように、深夜勤務を増やすことで、給与アップに繋がります。

夜勤専従の介護職の働き方

勤務時間

 夜勤専従の介護職は、主に夜勤シフトに特化して勤務する形態です。

 勤務時間は通常、16時間勤務が一般的です。例えば、夜勤専従として働く場合、午後4時から翌朝9時半まで(内1時間半仮眠)といったシフトになります。これにより、昼間の時間帯を完全に自由に使うことができます。

 夜勤専従は、基本的に夜勤のみのシフトで構成されており、他の時間帯の勤務は行わないため、生活リズムを夜型に合わせることが求められます。

 この勤務時間は、夜間のケアが求められる施設で働く介護職員にとっては非常に重要で、夜勤のシフトを専念することによって、スケジュールが安定し、給与を効率的に得ることが可能です。

給料

 夜勤専従の介護職は、通常の勤務時間に比べて高い給与を得ることができます。

 夜勤手当が通常より高く支給されるため、月収で30万円以上を得ることも可能です。夜勤専従として勤務する場合、夜勤回数が増えるため、1回あたりの夜勤手当が加算され、総収入が大きく増加します。

 夜勤専従の給料は施設によって異なりますが、夜勤1回あたりの手当は特養であれば6,000円程度が一般的です。

 さらに、深夜割増や介護職員処遇改善加算などが支給される場合もあり、手当が追加されることで、年間で数十万円の収入アップが期待できます。

メリット

 夜勤専従として働くメリットは、何と言っても高収入を得やすい点です。

 夜勤回数を増やし、深夜割増や夜勤手当を最大限に活用できるため、収入を大きく増やすことができます。また、昼間の時間を自由に使えるため、副業や学業と両立させることが可能です。

 さらに、夜勤専従では勤務時間が夜間に固定されているため、日中のプライベート時間が確保でき、自己のライフスタイルに合わせた働き方がしやすくなります。

 特に昼間を学業・副業・家庭の時間に使いたい人にとっては、非常に魅力的な勤務形態です。

デメリット

 一方で、夜勤専従のデメリットもいくつかあります。まず、体調管理が大きな課題となります。夜勤中心の生活リズムに適応するのは難しく、長期間続けることで体調を崩しやすくなる場合もあります。特に昼夜逆転の生活が続くと、睡眠不足や精神的なストレスが蓄積されることがあります。

 また、家族や友人との時間が合わないという点もデメリットです。夜勤の勤務が主になるため、昼間に予定がある友人や家族との時間を調整しにくくなることが多いです。そのため、プライベートの交友関係に制約が生じることがあります。

 さらに、長時間の勤務により、精神的・肉体的な負担が大きくなる場合があります。夜勤専従の仕事は一度に多くの業務をこなさなければならないため、特に人手が少ない施設では責任が重く、ストレスを感じることがあるかもしれません。

 夜勤専従は高収入と自由な時間が得られる一方、健康管理や生活リズムの調整に配慮が必要なため、自分の体調やライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切です。

夜勤手当の相場についてよくある質問

Q1. 介護職の夜勤手当の相場はどのくらいですか?

A1.
 介護職の夜勤手当の相場は、施設や地域によって異なりますが、夜勤1回あたりの手当は特養であれば6,000円程度が一般的です。都市部や民間の大手施設では比較的高い手当が支給される傾向にあります。

Q2. 夜勤手当は全ての介護施設で支給されますか?

A2.
 ほとんどの介護施設では夜勤手当が支給されますが、施設によって金額や支給条件が異なります。例えば、小規模な地域密着型のグループホームや特別養護老人ホームなどの公的施設では、民間の施設に比べて夜勤手当が低く設定されることがあります。

Q3. 夜勤手当の金額は資格によって変わりますか?

A3.
 いいえ、介護職における夜勤手当は一律で設定されている場合がほとんどで、資格や経験によっても大きく変わることはありません。しかし、経験が豊富な介護職員は、夜勤の業務をスムーズにこなすことができるため、施設側からの信頼も高く、その結果、昇給や昇格に影響することも少なくありません。

介護職の夜勤手当の相場を理解して自分に合った職場を選ぼう

高収入を目指す場合は夜勤専従も検討

 もし高収入を目指しているのであれば、夜勤専従の勤務形態が非常に効果的です。

 夜勤専従として働くことで、夜勤手当を最大限に活用でき、月々の収入が大幅に増加します。

 しかし、夜勤専従には体調管理や生活リズムの不規則さが求められるため、自分の健康状態やライフスタイルに合うかどうかをしっかり考慮した上で選ぶことが重要です。

夜勤の負担を減らす方法を取り入れる

 適度に夜勤をこなす形態で働く場合でも、勤務中の負担を軽減する工夫をすることが大切です。

 夜勤前の食事や休息、休憩時間を有効に活用し、夜勤後にリフレッシュできる時間を確保することで、長期間安定して働くことができます。

 また、シフトが過度に厳しい施設よりも、職員の休息や健康管理を重視した施設を選ぶことで、精神的な負担を減らすことができます。

施設選びのポイント

 夜勤手当や勤務形態を決める際には、施設の運営方針や待遇面も大切な選択基準となります。

 施設によっては、夜勤回数や勤務時間帯に柔軟な調整を行っている場合や、職員の健康管理や福利厚生に力を入れているところもあります。

 これらの条件をしっかり確認し、自分に合った職場を選ぶことが、仕事を続けるうえでの満足度や安定性に繋がります。

 自分の体調やライフスタイルに合わせた勤務形態を選ぶことで、長期的に無理なく働きながら収入を得ることができるでしょう。夜勤手当の相場を理解し、自分に合った職場を選ぶことが、仕事を続けるために大切なポイントです。

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